刈谷知立環境組合 視察研修所感
氏名 神谷昌宏
平成19年11月5日(月)〜6日(火)の2日間、刈谷知立環境組合議員14名と職員4名の合計18名で行政視察に行って参りました。
視察項目は
についてであります。
先ず始めにそれぞれの施設の概要を報告しますと
- 東京都葛飾区 葛飾清掃工場
処理能力 焼却炉250t/日×2炉 全連続燃焼式火格子焼却炉
灰溶融炉55t/日×2炉 プラズマ式溶融炉発電設備 蒸気タービン発電機 定格出力 13500kW 建設費 約157億円 工期 平成15年6月〜平成18年12月 - 東京都八王子市 戸吹清掃工場
処理能力 焼却炉100t/日×3炉 全連続燃焼式ストーカー焼却炉
灰溶融炉18t/日×2炉 電気抵抗式溶融炉発電設備 蒸気タービン発電機 定格出力 1990kW 建設費 約227億円 工期 平成6年9月〜平成10年3月
一方、現在刈谷知立環境組合で新たに建設中の施設概要は
処理能力 | 焼却炉97t/日×3炉 全連続燃焼式ストーカー焼却炉 灰溶融炉20t/日×2炉 三相交流アーク式溶融炉 |
---|---|
発電設備 | 蒸気タービン発電機 定格出力 6400kW |
建設費 | 約125億円 |
工期 | 平成17年11月〜平成21年3月予定 |
この度刈谷知立環境組合において建設する新しいごみ焼却施設とこれまでの施設との違いの一つは、「新たに灰溶融施設が設けられる」ということであります。この灰溶融というのは、可燃ごみを焼却した時に出来る焼却灰を、電気やガスを使って1200℃以上の高温に加熱し、溶融・固形化するものです。これによりスラグという砂に似た物質が作られます。高温で処理されることにより、灰に含まれる重金属類(水銀・鉛・カドミウム・亜鉛等)はスラグの中に封じ込まれ、さらにはダイオキシン類も分解されています。このスラグは砂に替わる建設資材等の材料として活用ができたり、灰の状態に比べて容積が減少するので、埋め立て処分量を大幅に減らすことができ、埋め立て処分場の延命を図ることができるというメリットがあります。
今回の東京都葛飾区 葛飾清掃工場の説明によりますと「灰→スラグ」の容積は2分の1になるということでありました。これを全て最終処分場に埋め立てたとしても、従来より2倍の期間最終処分場を使うことが出来ますが、[循環型社会構築]という視点で考えますと、「このスラグがいったいどの程度資源として再利用できるか」が大切なことであると思います。そこでそれぞれの視察先でその点を中心に質問をしてみました。
東京都葛飾区 葛飾清掃工場
「スラグの使い道は、現在80〜90%を最終処分場の路盤材として利用している。しかし一般の建設資材としての使用は10%程度しかない。なぜ一般に普及しないのかというと、品質が安定しないからである」
とのことでした。
東京都八王子市 戸吹清掃工場
「スラグは全て今回の施設のプラントメーカーであるJFEにおいて処理して貰っているため、当施設として最終処分場に搬入するものはない。JFEとして再利用していると思うが、全てが再利用出来ているわけではないと思う。その割合は判らない。現在、飛灰はエコセメントとして利用しているが、三多摩地区では主灰もセメント化の方向にある。最新の工場では飛灰も溶融するようになってきた」
とのことでした。つまり、スラグがどの程度再利用されているかは把握していないようでした。
平成18年7月に、溶融スラグを道路やコンクリート骨材として有効利用するための品質を定めたJISが公示されました。今後、刈谷知立環境組合の新しい施設において生産される溶融スラグが、出来る限り資源として利用できるよう、施設建設中の今のうちから調査研究しておく必要があるのではないかと思います。
また、今回の視察において、現在刈谷知立環境組合あるいは刈谷市とは異なる点として、興味深い事柄がありました。それは、一般の方のごみ焼却場への搬入時間です。戸吹清掃工場では一般の方の搬入のため、[日曜・祝日も営業、昼休みなし、朝は8時半から営業]という体制でした。以前からこの点についての改善を、同僚の安倍議員が本会議等で指摘をしていますが、「本来ならば回収のためのコストが掛かるところを、わざわざ市民の方から持って来てくださるのだから、出来る限り便利な受け入れ体制にすべきである」との観点から、この事例は大いに見習うべきであると思います。