庁舎建設署名に対する回答
1. 新庁舎建設に関する意見募集は行政主導型で十分市民合意がなされていない
現在の本庁舎は、昭和29年に建設後、数度にわたる増築を行ってきましたが、老朽化が激しく耐震性にも問題があり、非常に手狭な状態になっています。このため、第5次刈谷市総合計画において新庁舎建設が位置付けられ、平成8年度に庁舎建設基金の積立を開始しました。
その後、平成14年度から5年間、検討組織を立ち上げて検討してまいりました。その間、平成16年度には庁舎建設の基となる基本構想を市民に公表し、それに対する意見の募集を行いました。
そして、平成17年度は、有識者や市民代表の方からなる刈谷市庁舎建設懇話会を設置して、ご意見をいただいております。また、議会においては、各会派代表を含む議員で構成されました庁舎建設特別委員会が設置され、集中的に審査いただき、平成19年6月議会において、新庁舎の基本理念である「市民にわかりやすく親しまれる庁舎」を具現化した内容で、庁舎建設のスケジュールに従い、事業推進をとの、委員会報告がなされております。
その間、基本設計を市民に公表し、多くの市民の皆様からの声をいただけるよう、パブリックコメントとして意見募集も行い、それを踏まえ基本設計の概要と外観パース等をホームページや新聞報道等でお知らせしております。また、昨年には、近隣住民、地権者に対して、説明会を開催しており、市民合意を十二分に踏まえて行っているものです。
2. 新庁舎の維持管理経費について
現在、実施設計を行っているところで、設備等が確定していませんので、具体的な数字は、まだ出ておりません。
維持管理費を抑えるために深夜電力などを利用した氷蓄熱システムの採用、昼光センサー・人感センサーによる照明の制御、雨水・井水利用による節水など高効率なシステムを採用し、自然エネルギーの有効利用を図るなど、維持管理経費の低減に向けたものとしております。従って、あくまで概算ではありますが、平均的な同規模の庁舎の維持管理経費は約1億7千万円程度と聞いておりますが、本市が建設いたします新庁舎は、この約15パーセント程度の削減を目指してまいりたいと思っております。
吹き抜けについては、よくある1階から最上階までの通しの吹き抜けのように単に見栄えのために設けてあるのではなく、1階置きに交互に吹き抜けることで、冷暖房効率を高めるようにし、自然換気を促すことによって冷暖房する期間を少しでも短くできるようにするとともに、無駄なく空調できる床吹き出し空調を採用し、省エネルギー化を図ってまいります。また、来庁者への圧迫感を抑えるとともに上下階に何課があるのか分かり、見通しをよくして来庁者の利便性を高めることとしています。
3. 基本構想の中でコンパクトと言っているのに庁舎面積が1.7倍に増える必要があるか
現庁舎は、地方分権のなか事務量の増大などに伴い、非常に手狭なものとなっています。本来ならば、増築なり、一部部署を別な場所に移すことで分庁舎化し、スペースの確保を図る必要もありましたが、来庁者に不便なため、そのようなこともできず、非常に狭隘で無理に狭いスペースの中で執務している状況であります。特に、受付カウンターも設置できないような執務スペースや打合せ場所もないような会議室の不足を解消して、市民のプライバシーや個人情報の保護を図る必要があります。
また、度重なる増築でわかりにくい構造となっているため、来庁者の待合スペースや受付スペースをわかりやすくするとともに基本構想にもあるように市民と行政との協働を推進する場として、ミーティング(打合せ)スペースを設けています。
また、防災拠点としての機能や市政情報コーナーの充実などを図ることや現在、庁舎外に点在する書庫、倉庫などを庁舎内に設けることによって、この計画面積になったものですが、他市の庁舎と比較しても面積は同等または同等以下となっており、決して過大でなく市民にとってわかりやすく使いやすいスペースを確保しております。
4. 南庁舎は十分使えるのに新庁舎に移転するのは、無駄使いではないか
新庁舎への議会部門の移転については、南庁舎は建設後26年経過して、設備が老朽化しており、数年後には、大規模な改修も余儀なくされます。また、南庁舎と新庁舎が距離を隔てて分断することは、議会部門との関係を保つ必要性を阻害することなどから、議会部門を移すことが、本来の効率の良い庁舎機能となり、市議会の庁舎建設特別委員会で十分審査いただき、決定されたものです。
また、新庁舎建設後の南庁舎については、今後、周辺施設を含めた全体的な見直しの中で有効活用を検討しております。
5. 民間の感覚では500億円の売り上げの会社が100億円のビルを建てるようなもので公共だと許されるのか理解できない
市では福祉から道路建設、教育と多くの事業を行っています。そんな中で長期的視点に立って、財政計画を立て、基金を積み立てるなど、他の事業に影響を及ぼさないように庁舎建設を進めています。
市役所は、市民にとっても行政にとっても最も重要な必要不可欠の施設であると考えており、現庁舎も53年使っていますが、将来を見据え、高い耐震性を備えた質実で機能的な庁舎を目指しており、少しでも安価となるよう努力してまいります。
6. 増税など市民生活が益々圧迫されているにもかかわらず公共施設が必要以上に豪華なものになることは感情的に理解できない
新庁舎建設は、限られた予算の中で将来を見据え、皆様の合意のもとにしっかりとした財政計画の中で刈谷市総合計画に沿って、他の事業に影響を及ぼさないよう進めております。
新庁舎の事業費は、他市と比較して同等またはそれ以下のものとなっており、また、現状敷地を最大限に有効活用したなかで、周辺への環境配慮、機能性等を考慮した結果、このような形状になったもので、現庁舎を使いながら事業費を抑えており、新庁舎についても決して贅沢で華美なものを考えているわけではありません。
7. 中央に大きな市役所があるのではなく、ネット等を利用し分散型の市役所でよいのではないか
現在、国の行政改革などにより、市町村の事務は増大しているのが現状です。そんな中で福祉、税務、道路、水道、教育など多くの業務を行っており、分散できないものもたくさんあります。仮に市民サービス向上のため、一部業務を地域に分散したとしても、現在計画されている新庁舎の延べ床面積は必要なもので、逆に分散型庁舎は市民の皆様の不便さや職員の配置及び設備の二重投資につながるなど、かえって問題があります。