平成23年度
施政方針及び議案の大綱

刈谷市長

平成23年3月市議会の定例会にあたり、所信の一端とご提案申し上げております議案の大綱についてご説明申し上げ、議会並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

今年は、記録的な大雪により、各地で被害が発生しており、住民生活への不安が広がっているというニュースが毎日のように流れております。先月17日には、本市でも10pほどの積雪に見舞われ、交通機関などで混乱が生じました。また、新燃岳の噴火により宮崎県を中心に大きな被害が発生しておりますし、県内の豊橋市や新城市をはじめ各地で鳥インフルエンザによる養鶏場への被害も発生しております。こうした一連の災害が早く収束し、住民の方々が安心して生活できる環境を取り戻すことができるよう強く願っております。

さて、先月の内閣府の月例経済報告では、「景気は足踏み状態にあるが、一部に持ち直しに向けた動きがみられる。」として、昨年6月以来、7か月ぶりに基調判断を上方修正し、景気回復に向け、やや明るいきざしも見え始めました。先行きについては、海外経済の改善や政策効果などの好転材料がある一方で、マイナス要因として、為替レート・株価の変動などによる景気の下押しリスク、デフレの影響や雇用情勢の悪化懸念なども依然残っており、本格的な景気回復にはもう少し時間がかかるのではないかと考えているところであります。

政府の平成23年度予算編成においては、「新成長戦略」に基づき、我が国経済の本格的な回復基調を図るための経済対策が盛り込まれております。今後の取組みが国民の不安を解消し、本格的な景気の回復へとつながることを強く期待しているところであります。

愛知県においては、今月6日の愛知県知事選挙で、新たに大村知事が誕生いたしました。県内市町村の声に十分に耳を傾けていただき、景気回復への後押しや雇用機会の創出など、県民生活の不安を解消し、元気な愛知の再生のために、積極的な施策の実施を期待しているところであります。

この地域における経済活動は、着実に回復のきざしが見え始めていると感じておりますが、市内の中小企業はまだまだ厳しい状況であります。昨年9月のエコカー補助金の終了や円高の影響などで、自動車生産の落ち込みもありましたが、底打ち感が出てきているとも言われており、今後着実な回復基調に乗り、地域経済の活性化につながるよう強く期待しているところであります。

こうした中、本年度、本市の新たなまちづくりの羅針盤となる第7次刈谷市総合計画を策定させていただきました。「人が輝く 安心快適な産業文化都市」を将来都市像として掲げ、市民生活における安心と安全の確保と快適な都市機能の整備、本市の発展を支えてきた産業の維持発展に努めるとともに、先人たちから受け継いだ歴史や文化を大切にし、市民一人ひとりが生きがいや希望を持てるまちであり続けられるよう努力してまいりたいと決意を新たにしております。

新年度は、第7次刈谷市総合計画のスタートの年となります。10年、20年後の刈谷のまちの姿をきちんと見つめ、新たなまちづくりの一歩を踏み出してまいりたいと思います。

ここ数年の市税収入は、長引く経済活動の低迷を受け、平成21年度、平成22年度と大幅な減収となり、行財政運営に大きな影響を及ぼしました。平成23年度はやや回復のきざしも見え、市税収入は前年度比約17億円の増額を見込んでおります。一方、これまで整備してまいりました教育施設をはじめ公共施設などの老朽化に伴う改築や改修、社会保障などの経費が着実に増加しており、今後の財政運営の硬直化が懸念されます。

そのため、新たな施策や事業を積み上げると同時に、知恵と工夫を凝らし今ある資源を活用しながら、時代の変化や市民ニーズの多様化などに対応できる行財政運営に努めていかなければなりません。職員一人ひとりが、市民の信頼に応えられるよう、昨年も申し上げました3C1S、「クリーン」「シチズン」「チャレンジ」の3つのCと、Sである「スピード」に、さらに「コスト」のCを加え、4C1Sを持った仕事ができる市役所であるために、さらなる努力をしてまいりたいと考えております。

新年度も、市民の皆様が“元気で幸せ”を実感していただけるよう、マニフェストに掲げた事業も含め、市民ニーズへの対応や社会的課題の解決に向け、市民生活の安心と安全を中心に積極的な予算編成をさせていただきました。

それでは、以下、平成23年度の主要施策と予算における基本的な考え方につきまして、ご説明申し上げます。

はじめに、「やすらぎ」であります。

暮らしの安心と安全を確保し、市民の皆様が不安なく日常生活を送ることができるよう、各種施策を積極的に推進してまいります。

新年度に、総合健康センターの2階に中央子育て支援センターをオープンいたします。従来の青葉福祉センター内の機能を移転するとともに、発達に心配のある就学前の子どもと保護者を対象に、集団療育や個別相談などを通して、子どもの心身やことばの発達などを促す早期療育事業、おもちゃライブラリー事業やブックスタート事業などを行い、安心して子育てできる環境を整備してまいります。

本年2月から、子宮頸がん予防ワクチン、ヒブ・小児用肺炎球菌ワクチンの予防接種を公費負担で実施することとしました。新年度も引き続き実施し、子どもの健康保持に努めてまいります。

児童クラブの充実として、小学校敷地内へ児童クラブの移転を進めております。これまで6校に児童クラブを整備してまいりましたが、新年度は、住吉、富士松南、平成の3校に整備を行ってまいります。また、移転後の施設を活用し、施策の充実を図るため、東刈谷児童館では、新たにのびのび広場を開設し、乳幼児と保護者の交流、子育ての相談や情報提供などを、かりがね児童クラブは子育て支援センターとして改修を行い、子育て広場や病児・病後児保育室の整備を行ってまいります。

次に、地区の活動拠点であります市民館に、順次エレベータを設置し、高齢者や障害のある方にも利用しやすい施設となるよう改修工事を進めております。これまで10館にエレベータを設置してまいりましたが、新年度も引き続き、5館の設置工事を行ってまいります。

総合健康センターのオープンに伴い、現在の保健センターを活用し、障害のある方の自立や社会参加の促進を図るための支援施設として整備を行ってまいります。また、身体に障害のある方の就労、就学、通院などのために自動車を改造した場合の助成対象を、現在の本人所有の場合に加え、新たに家族所有の場合も対象として拡充し、障害のある方の社会参加の促進を図ってまいります。

このほか、平成24年度から第5期介護保険事業計画がスタートいたします。新年度は、今後の介護保険のニーズや事業量などの見込みを行いながら、計画の策定を進めてまいります。

次に、発生が懸念されている東海・東南海地震に備え、地域の防災力を高めるため、木造住宅の耐震改修費への助成を行ってまいりましたが、改修費用の負担が大きく、助成があっても耐震改修へとつながっていない面もありました。そのため、助成額を現在の60万円から100万円へ引き上げるとともに、補助割合を対象経費の2分の1としていた条件を撤廃し、支援の充実を図ってまいります。ぜひ、多くの方に利用していただき、耐震改修の促進につなげてまいりたいと考えております。

また、災害や事故などが発生した場合に、市内中小企業の事業資産の損害を最小限にとどめ、事業の継続や早期復旧を可能とするため、商工会議所と連携して実践的な講座などを開催し、事業継続計画の策定を支援してまいります。

このほか、市南部の東刈谷町や末広町周辺での浸水被害の解消を図ることができるよう、新年度は雨水管整備の実施設計を行ってまいります。

次に、「いきがい」であります。

活気と希望を持って健康で元気に生活を送ることができるよう、健康づくりや生きがい支援、産業の振興、教育環境の充実を図ってまいります。

市民の健康づくりの拠点として、これまでの保健センターの機能に加え、子育て支援や、トレーニング機器などを活用し、健康の増進を図る総合健康センターを本年4月にオープンいたします。新年度は、幅広い年齢層を対象に健康の度合いを評価し、生活習慣における改善点を把握し、医師や健康運動指導士などの指導のもと、安全で効果的な運動を実践できる場を創出し、市民自ら健康づくりに取り組むことができるよう支援してまいります。

また、本年4月、愛知県から救命救急センターに指定される予定の刈谷豊田総合病院が行うICUの増床、救急医療機器の整備などに対し助成を行い、地域医療や救急診療の充実を図ってまいります。

このほか、河川管理者である愛知県との協議が整いましたので、逢妻川の河川敷を利用したサイクリングロードの整備工事に着手してまいります。新年度は、総合運動公園から東海道新幹線までの区間の整備工事を行ってまいります。

次に、産業の振興として、農業者の経営安定化を支援するため、農地の利用集積を行った認定農業者などに対する助成を拡大し、3年間延長するとともに、新たに認定農業者が自らの経営の改善やステップアップのために必要な農業用機械の購入及び農業用施設の整備に対して、新年度から5年間を目処に助成を行ってまいります。

商工業においては、景気は一部持ち直しのきざしはあるものの、足踏み状態で先行きが不透明な面が強く、まだまだ厳しい状況であると認識しております。資金繰り対策として、資金融資制度などについて積極的にPRを行い、経営の安定化を支援できるよう努めてまいります。

また、雇用対策として、市内中小企業が雇用する労働者の一時的休業または教育訓練の実施に係る費用の一部を助成することにより雇用の安定を図るとともに、緊急雇用対策として既存事業や新規事業の中で、離職者を一定期間雇用できるように努めてまいります。

次に、教育環境の充実として、施設の整備とともに、個々の児童生徒にあわせたきめ細かな指導や育成ができるように努めてまいります。

新年度から新学習指導要領が本格的にスタートいたします。ゆとりでも詰め込みでもなく、知識、道徳、体力のバランスがとれた生きる力の育成を目指すとされており、小学校5年生、6年生には外国語活動の時間も創設されます。これまでも充実を図ってまいりました外国人英語指導助手については、新年度においてもさらに増員し、英語活動の充実を図ってまいります。また、肢体不自由な児童生徒が在籍している小中学校に各1名の介助支援員を配置し、児童生徒の学校生活の支援を図るとともに、体力向上プロジェクトとして、教員を対象とした体育指導力の向上を図る講習会を実施し、児童生徒の体力向上に努めてまいります。

教育施設の充実として、老朽化した校舎などの改修、児童生徒の増加に対応した校舎の増築などを進めてまいります。新年度は、衣浦小学校や刈谷南中学校の校舎の老朽化に伴う大規模改造工事と、富士松東小学校の増築のための実施設計を進めてまいります。

このほか、旧南庁舎に移転を予定しております現在の社会教育センターについては、就園・就学相談、いじめ、不登校など、子どもに関する総合的な相談施設として活用していく予定であります。新年度は、施設改修の実施設計を行ってまいります。

次に、「うるおい」であります。

快適で住みやすく魅力ある生活を送ることができるよう、継続的に進めている事業を中心に、都市機能や生活機能の整備を着実に進めてまいります。

快適な交通機能の整備として、亀城公園付近から国道155号までをつなぐ市道01−40号線や、西境町から今川町の国道1号までをつなぐ市道01−4号線など、地域間交通の円滑化を促す幹線道路の整備を着実に進めていくとともに、集落内の生活道路の整備についても、継続して物件の移転交渉や用地取得に取り組み、早期に完成できるように努めてまいります。

交通安全対策として、富士松図書館から西境町へ伸びる市道01−3号線の拡幅工事を継続して進め、歩車分離による歩行者の安全性の向上を図ってまいります。

渋滞対策の一つとして有効な手段である交差点改良は、下重原交差点について、新年度に左折専用レーンの設置工事を行ってまいります。また、神明町交差点についても、県道今川刈谷停車場線に右折帯を設置し、南進方向の渋滞の緩和を図るとともに、交差点付近の歩道を拡幅し、スクランブル交差点に改良することで、歩行者の安全性の向上を図ってまいります。

また、環境にも配慮した総合交通対策を推進するため、公共交通や自動車、歩行者、自転車を一体的に捉えた「都市交通計画」を策定してまいります。

このほか、駐車場の整備として、新年度、板倉町と松栄町の国道23号の高架下に駐車場を整備し、市民サービスの向上を図ってまいります。

次に、緑に包まれた都市空間の整備として、亀城公園については、昨年度と本年度の2か年にわたり発掘調査を行ってまいりました。新年度は、その結果を基に、隅櫓や城門などの歴史的建築物の復元に向けた基本計画の策定を行ってまいります。あわせて、引き続き桜の生育環境の改善や植替えを行ってまいります。

魅力ある都市基盤の整備として、本年度、刈谷駅北口アーバンフェイス整備事業が完了し、市の玄関口として新たな一歩を踏み出します。新年度は、刈谷駅北口の利便性の更なる向上を図るため、南北連絡通路の北端にエスカレーターの設置を行ってまいります。

ハイウェイオアシスとして多数の来場者が訪れる岩ケ池公園は、アミューズメント空間の充実を図るため、新たに大型遊具1基の設置を行ってまいります。

市街地の整備として、昭和59年から進めてまいりました半城土高須土地区画整理事業については、新年度中の事業完了を目指してまいります。小垣江駅東部、野田北部の2つの土地区画整理事業についても、早期の完了を目指し、引き続き事業の推進に取り組んでまいります。

次に、地球にやさしい環境都市を目指し、新年度から環境都市アクションプランがスタートいたします。新年度は、自転車マップの作成やエコポイント制度の検討、エコアクション21の普及啓発活動などを行い、“E−smile都市刈谷”の実現に向けた取組みを進めてまいります。

また、ごみの減量化についても、引き続き資源回収所設置への助成や事業所への普及啓発に努めてまいります。

このほか、1日2組の葬儀を可能とするため、昨年6月から青山斎園の増改築工事に着手しており、本年7月の供用開始を目指してまいります。

次に、「いろどり」であります。

歴史や文化、自然にふれ、豊かな生活を送ることができるよう、郷土の財産を大切にするとともに、文化やスポーツに親しむ生涯学習などの推進に努めてまいります。

自然と共生する環境の整備として、井ケ谷町の旧茶屋川にせせらぎ、植栽、休憩施設などを配したビオトープを整備し、生態系に配慮した自然とのふれあいを可能とする河川環境の創出に取り組んでまいります。また、天然記念物であります小堤西池のかきつばた群落の保護増殖など、貴重な自然環境の保全にも取り組んでまいります。

次に、文化やスポーツに親しむ環境の整備として、美術館は昭和58年の開館以来28年が経過しており、美術館の機能維持のため空調設備などの改修を行うとともに、新年度は「蕗谷虹児展」「安野光雅展」などの企画展を開催してまいります。

総合文化センターは、昨年4月のオープン以来、市制60周年記念事業と相まって、多彩なイベントを開催し、多くの方に足を運んでいただくことができました。新年度も、引き続き魅力ある事業を提供できるように努めるとともに、地域文化創造の担い手として市民スタッフを育成し、市民が企画制作する舞台公演も実施してまいります。

また、小惑星探査機「はやぶさ」の帰還カプセルの特別公開については、全国の多くの自治体が誘致を熱望していた中、本市での開催が決定いたしました。この特別公開を通して、子どもはもちろん、多くの方に星空や宇宙への夢を育み、日本の科学技術の高さとチャレンジする心の大切さを実感していただけるような機会にしてまいりたいと考えております。

スポーツ施設の整備として、総合運動公園内にありますグリーングラウンド刈谷のサッカー人工芝コートは、照明設備を設置し、夜間利用も可能な施設として有効利用を図ってまいります。また、逢妻川の河川敷を利用したスポーツ施設の整備についても、河川管理者である愛知県との協議を行いながら、新年度から順次工事に着手してまいりたいと考えております。

次に、ふるさとの財産を後世に引き継ぐため、郷土に伝わるまつりの継承や貴重な文化的遺産の散逸を防ぐとともに、一般に広く公開ができる歴史博物館の整備を進めてまいります。本年度策定しております基本計画に沿って、新年度は基本設計を行ってまいります。

また、昨年度から本市にゆかりのある人物の生涯を紹介する刈谷偉人伝を作成しております。本年度は、刈谷藩初代藩主の水野勝成を取り上げました。新年度は、フェライトの父と呼ばれる加藤与五郎を取り上げ、偉人伝の作成を行っていく予定でおります。あわせて、野田町にあります加藤与五郎生家跡の整備を行ってまいります。

このほか、新年度では、本年度に募集した第3回森三郎童話賞の応募作品の審査及び表彰を行うとともに、最優秀賞受賞作品の製本を行ってまいります。今回は、466作品という多くの応募をいただき、この賞が全国的に広く認知されてきたものと考えております。

最後に、「しんらい」であります。

厳しい時代の中で、市民から信頼される行政であるための努力をしつづけなければなりません。

本年度、共存・協働のまちづくりの推進のために創設しました市民活動支援基金「かりや夢ファンド」に対し、多くの方から多大なるご寄附をいただきました。本市も同額を基金に積み立て、新年度は、基金を活用して地域団体や市民活動団体が行うまちづくり活動などに対して支援を行い、共存・協働のまちづくりの推進を図ってまいります。また、旧南庁舎の改修工事を行い、社会教育センター、市民ボランティア活動支援センターの機能に加え、国際交流や多文化共生を推進するための機能を持つ複合施設として整備を行ってまいります。

新年度から、本市のまちづくりの羅針盤となる第7次刈谷市総合計画がスタートいたします。本計画を着実かつ効率的に推進していくため、学識経験者などで構成する行政評価委員会を設置し、外部の視点も取り入れた行政評価を実施してまいります。

冒頭にも申し上げましたが、今後、建替えや大規模な改造を必要とする公共施設が増加し、本市の行財政運営に大きな影響を与えることが懸念されます。そのため、新年度から施設の維持管理や修繕、建替えの方針、財政負担の平準化などの検討を行い、公共施設維持管理計画を策定してまいります。

昨年4月に定住自立圏構想の中心市宣言を行い、知立市、高浜市、東浦町との連携により圏域全体の利便性の向上や魅力の創出などを図ることを目的に、中心市としてのリーダーシップを発揮し、この構想の推進に努めてまいりたいと考えております。今議会に各市町と締結する定住自立圏形成協定を議案として上程させていただいております。新年度は、この形成協定をもとに連携する具体的な事業プランを定める定住自立圏共生ビジョンの策定を進めてまいります。

このほか、組織機構の見直しとして、新年度から危機管理全般に係る総合調整の業務を担当する「危機管理課」を、新設の「危機管理局」に設置いたします。これに伴い、「防災安全課」を廃止し、交通防犯の業務と市民相談の業務を担当する「市民安全課」を市民活動部に新設いたします。また、業務量の増大とともに市民に分かりやすい組織にするため、現行の障害福祉課を、社会福祉関連業務を担当する「社会福祉課」と障害援護業務を担当する「障害福祉課」に再編いたします。引き続き、市民ニーズや社会的課題に対応するため、組織機構の見直しを進めてまいります。

以上、これまで申し上げてまいりました施策や事業を着実に進めることにより、第7次刈谷市総合計画の将来都市像である「人が輝く 安心快適な産業文化都市」の実現に向け、市民の皆様が“元気で幸せ”を実感できるまちづくりに全力で取り組んでまいります。

予算の大綱

次に、予算の大綱についてご説明申し上げます。

国においては、平成23年度予算編成に当たって、「新成長戦略」と「財政運営戦略」の下で、「経済成長」、「財政健全化」、「社会保障改革」を一体的に実現し、元気な日本を復活させるための礎を築くとしています。

昨今の経済情勢は決して楽観できるものではなく、雇用情勢も厳しいことから「成長と雇用」を最大のテーマとして掲げ、雇用を増やし、経済成長の要としていくための政策に重点を置くとともに、「少子化対策・子育て支援」、「農業の再生」などの重要な政策課題に取り組み、徹底的な事業の見直しと無駄の削減を行うとしています。

こうした状況の中、本市においては、厳しい経済状況の中にあっても、引き続き、健全で安定した財政を堅持し、効率的で効果的な行財政運営を進めるとともに、真に必要な事業を見極め、市民の皆様の信頼に応えるため、各種施策に取り組んでまいります。

平成23年度当初予算においては、市民の皆様が“元気で幸せ”を実感できるまちづくりの実現に向け、市民生活の維持向上に重点を置き、「しんらいを笑顔につなげるげんき応援予算」とさせていただきます。

予算の概要については、一般会計が480億1,000万円で、これは前年度当初予算と比較して、7.0パーセントの減であります。

また、特別会計は、土地区画整理事業、下水道事業、国民健康保険など合計で、223億9,227万円、水道事業会計は41億5,194万7千円であります。全会計の総合計は、745億5,421万7千円で、前年度当初予算と比較して、3.7パーセントの減となっております。

この内、一般会計の歳入については、歳入の根幹をなす市税が298億7,017万5千円で、前年度当初予算と比較して、6.1パーセントの増を見込んでおります。

次に、歳出については、構成比で最も大きな割合を占めているのは、子育て支援、高齢者、障害者福祉を中心とした民生費で、34.3パーセントの164億6,860万2千円であります。

ついで、教育費は、16.7パーセントの80億1,601万4千円、次に土木費で、14.3パーセントの68億7,628万1千円となっています。なお、歳出に占める投資的経費の割合は、11.1パーセントであります。

議案の大綱

次に、一般議案についてご説明申し上げます。

今回提案しておりますのは、報告案件2件、単行議案9件、条例議案7件、予算議案16件の合計34件であります。

まず、報告案件については、損害賠償の額を定める専決処分及び刈谷市土地開発公社事業計画等についてであります。

単行議案については、功労者の推薦及び監査委員の選任について議会の同意をお願いするもの、定住自立圏の形成に関する協定の締結について、刈谷駅北口広場駐車場の指定管理者の指定についてなどであります。

条例議案については、青山斎園の改修に伴い刈谷市青山斎園条例を改正するもの、出産育児一時金の加算を平成23年度以降も継続するため刈谷市国民健康保険条例を改正するものなどであります。

このほか、一般会計、特別会計を合わせて2億1,226万8千円を追加する平成22年度補正予算も提出しております。その主な内容は、一般会計の歳入において、市民税の増額、財政調整基金繰入金や保健センター建設事業債の減額などであり、歳出は、亀城公園等整備基金への積立や各事業における工事請負費の減額などであります。

また、保健センター建設事業の継続費の補正、市道01−40号線他道路新設改良事業など繰越明許費の補正も同時にお願いしております。

なお、今回も多くの方からご寄附をいただきました。心から厚くお礼申し上げます。

以上、平成23年度を迎えるにあたり、所信の一端と提出議案の概要を述べさせていただきました。

議員各位並びに市民の皆様の深いご理解とご協力をいただき、本市の都市像であります「人が輝く 安心快適な産業文化都市」の実現に向けて、“元気で幸せ”を実感できるまちづくりを、職員ともども全力を尽して進めていく所存であります。

ご提案申し上げました諸議案につきまして、よろしくご審議賜りご賛同いただきますよう心からお願い申し上げ、説明を終わらせていただきます。