行政視察についての所感

副議長 神谷 昌宏

平成26年2月20日(木)、正副議長と自民クラブのメンバー8名の合計10名で
東京都渋谷区と総務省の視察研修を行いました。

研修項目は

  1. 渋谷区 [区民サービスセンター・防災センターについて]
  2. 総務省 [定住自立圏構想について]
  3. です。

この2項について、それぞれの項目毎に報告いたしますと

  1. 東京都渋谷区 区民サービスセンター・防災センターについて
  2. JR・東横渋谷駅2階連絡通路を真っ直ぐ進むと、平成24年4月に開業した地上34階建ての建物があります。通称「渋谷ヒカリエ」というこの建物の8階部分に、今回の視察先である区民サービスセンターと防災センターがあります。東急から無償で貸与されているこのフロアは、区民センターと防災センター合わせて約940.3uの広さです。区民センターと防災センターは担当課が違いますから、それぞれの担当より個々に説明を聞きました。先ずは区民センターから・・・

    平成24年6月4日から業務を開始したこの区民サービスセンターの窓口受付時間は、平日は午前11時から午後7時まで、土曜日は午前9時から正午までとなっており、職員数は再任用の1名を含んで5名、その他に委託業者のスタッフが平日7名、土曜日は10名(増減あり)いるとのことでした。渋谷区には区民への窓口サービスを行う施設として、本庁やこちらの区民センターの他に、9カ所の出張所がありますが、その内、本庁と区民センター、出張所1カ所において窓口業務を民間に委託をしているとのことです。

    民間委託の効果と問題点は・・・
       効果=繁閑に応じたスタッフ配置が出来る
           事務の均一化(受託業者としてスキルの積み上げ)
           経費節減
       問題点=職員の業務スキルの維持や向上が困難
             受託業者が変更になった場合の引き継ぎが難しい
             窓口における臨機応変の対応が難しい

    などでありました。但し、市直営の場合、職員は全ての業務のレベルアップを図らなければいけないが、民間業者であれば窓口だけのスキルアップでよく、スキルアップの負担が減った分だけ市民からの評価は高いようでありました。

    次に、防災センターについて説明を受けました・・・
    但し、こちらの説明は単に防災センターについてだけの説明ではなく[渋谷区の震災対策]全般について説明をして頂きました。平成23年8月15日号の日経グローカル誌において「自治体の災害対応力 総合評価で全国1位」に輝いただけあって、刈谷市では行っていないような様々な災害対策が行われていることに驚きました。

     ・帰宅困難者対策→小中学校といった区民向けの避難所では帰宅困難者は
                 利用することが出来ないことを徹底するなど、地域住民と
                 帰宅困難者の切り分けが明確に行われていました
     ・震災対策総合条例→全国の市町村に先駆けて総合的な条例を平成8年に
                   制定し、その後中高層共同住宅対策などの条例改正を
                   適宜実施(中高層共同住宅対 策の一例=共同住宅の
                   6階以上には防災備蓄倉庫を設けなければいけない)
     ・体育館に泊まっての避難所夜間訓練を全ての地区で実施
     ・耐震シェルターの設置費補助だけでなく、防災ベッドの設置費用補助
        (限度額50万円)
     ・安否確認メールの導入(全ての区立幼稚園・小学校・中学校・保育園・
      私立保育園・幼稚園)
      ・分譲マンションの耐震化支援制度

    など、説明も大変熱が入って、「もう少し時間があれば、詳しく聞くことが出来たのに」と残念に思うほど多様な事業内容でした。これら渋谷区では行われ刈谷市で行われていない事業については今後ネット等で勉強して、必要であれば刈谷市としての実施も要望して行きたいと思っています。

  3. 総務省 定住自立圏構想について
  4. 刈谷市は既に知立市・高浜市・東浦町の3市1町で衣浦定住自立圏を進めています。今回は改めてその必要性を担当課の馬場課長さんからお聞きすることが出来ました。お話の中で何度も強調されていた「我が国の人口は、2004年をピークに今後100年間で100年前(明治時代後半)の水準まで急激に減少して行く」「高齢人口が約1200万人増加するのに対して、生産年齢人口は約3500万人、若年人口は約900万人減少する。その結果、高齢化率は約20%から約40%に上昇する」「これまで主流であった[夫婦と子]からなる世帯は、2050年には少数派となり、単独世帯が約4割を占め主流となる。また、単独世帯のうち高齢者単独世帯の割合は5割を超える」「2050年までに、現在人が居住している地域の約2割が無居住化。現在、国土の約5割に人が居住しているが、約4割にまで減少」こうしたことを前提に、定住自立圏構想は進められているとのことでしたが、どう考えてもとてもそれだけでは対応出来ません。更に言えば、個々の自治体が個別の施策をそうした見通しの基に行なっているかといえば、疑問が残ります。刈谷市の施策、そうした視点で今後は眺めてみたいと思っています。

    今回の研修会で私が最も聞きたかったことは[定住自立圏の取組に係る特別交付税措置の拡充]についてであります。平成26年度より大幅に拡充するということで、中心市については、上限額4000万円程度→上限額8500万円程度に拡充、近隣市町村については上限額1000万円→上限額1500万円に拡充されるとのことでした。拡充されても衣浦定住自立圏の中心市である私ども刈谷市の場合、不交付団体でありますので、そもそも特別交付税を頂くことは出来ません、法人市民税の一部国税化の問題で、減収となる市民税の一部でも何らかの名目で国から交付されないかと思っていただけにこの額の少なさと、刈谷市は対象にならないことは非常に残念であります。一方、定住自立圏構想の推進に向けた関係各省による支援策については、経産省・文科省・農水省・国交省などから補助金の形で支援されるようでありますので、刈谷市としてもぜひ有効に活用して欲しいと思っています。