議案第24号
平成28年度刈谷市一般会計予算についての賛成討論

今回の議案、「反対」とされる方の主な反対理由が[亀城公園再整備事業]にありますので、私も先ずその事業についてから述べたいと存じます。

私はこの[亀城公園再整備事業]、次の3つの理由から賛成であります。

1点目は、この事業のきっかけが市民からの要望を受けたことによるものであるという点です。

竹中市長は先の質問質疑答弁の中で、4年前に行ったタウンミーティングの中で、刈谷にお城があったことを知らない中学生が多かったことに驚き、そのことがこの事業を行うきっかけとなった旨の答弁をされました。しかし実際には、平成20年に約6000名の署名を添えて「亀城公園に隅櫓・城門・城壁・石垣などを史実に準拠して復元・整備すること」を求める要望書が提出されています。つまり、市民から要望されていた事業が、中学生のその現状を知って市長は背中を押されたのだと私は理解しています。

2点目は、「歴史・産業・文化を生かしたまちづくり」が今の地方創生に求められる考え方であるからです。

今、安倍内閣で進めている「地方創生」と言うのは「各自治体が、それぞれの特徴を活かした自律的で持続的な社会をかたちつくることであり、判りやすく言えば魅力あふれる地方のあり方をそれぞれの地域が独自に築くこと」だとされています。

幸い刈谷市には世界に誇りうる産業という資源はあります。あと2つの項目である「歴史と文化」それらを施策の上で形作るツールあるいは起爆剤となり得るのが、亀城公園再整備の中にある歴史的建造物の復元であり、歴史博物館の建設であります。

また、行政評価委員会の委員長である名城大学の昇先生がこのように仰いました。「定住を促進するためにも必要なものは、まちの魅力や個性を高めることである。その魅力や個性を高めるものは何か。それは歴史と文化しかない」と。

昇先生の言葉を借りれば、定住人口を増やすためには歴史と文化が必要であるということでありますが、最近は定住人口を増やすことも大切ですが、日本全体のパイが大きくならない状況の中では、交流人口を増やすことも大切であると言われています。

そういった意味では、私は「歴史・産業・文化を生かしたまちづくり」は定住人口を増やすと共に、交流人口を増やすことにもなるのではないかと思っています。

3点目は、「公園にはそれぞれ個性や特徴があるべきだ」ということです。

現に、刈谷市内の大きな公園にはそれぞれに個性や特徴があります。それらをキーワードで表せば「総合運動公園→スポーツ」「岩ケ池公園→商業施設・遊園地・サービスエリア・温泉・観光」「ミササガパーク→芝桜・バラ・カナダ」「大手公園→防災」「フローラルガーデン→市民参加・花・無線」といった具合・ナす。

ところが亀城公園は、名前にこそ「城」が付いていますが「城」をイメージさせるものはなにもありません。ただ、桜の名所としての特徴があるだけです。

本来、亀城公園はその名前や立地に由来するように、城址公園という特徴があり、その特徴作りの一つとして歴史的建造物の復元があるのだと私は思います。そういった意味では亀城公園における歴史的建造物は、フローラルガーデンにおける[依佐美送信所記念館]と同じ位置づけだと私は思っています。

次に、予算的な規模で見てみたいと思います。今回言われている30億円、確かに私にとっては大きな金額です。しかしこうした事業費を見る場合には、全体の分母をしっかり見た中で議論をしなければいけないと思っています。

平成28年度の一般会計約563億円、特別会計や企業会計等を合わせた予算全体では約888億円、その数字を分母に考えた時に30億という数字は決してバランスを欠いた突出した大きな金額という訳ではないと思っています。しかも基金と言う形でしっかり目的のための貯金をしながら進めています。

実際、先程言ったほかの公園整備にも大きな予算が掛かっています。たとえば・・・

フローラルガーデンよさみには約20億円、岩ケ池公園には約90億円などです。

もちろんこうした事業も、暮らしや福祉・教育をないがしろにして行うというのでは本末転倒、それは許されることではないと思いますが、主要事業の概要5ページを見ていただきたいと思います。

歳出予算が事項別に記されていますが、その右端、27年度から28年度の伸び率という視点では、伸びの一番大きいのは、教育費の18.5%、続いて衛生費4.4%、民生費1.8%と、決して暮らしや福祉・教育をないがしろにしている訳ではありません。

更に、個別具体的な事業をとっても「まちなかマネジメント構想策定事業」「空家等対策推進事業」「自然環境基礎調査事業」「歩道整備事業」「住生活基本計画策定事業」など、将来に向けた調査・計画などを新たに策定し明日の刈谷市づくりの布石をきちんと打っている点

待機児童解消のため、かりがね小学校の西側に新たに民間保育所を整備するための運営支援、富士松北保育園の園舎を新築し定員増を図る事業、住吉幼稚園を第一学校給食センター跡地に移転新築し、重原幼稚園と合併した後、重原幼稚園を保育園に変更するなど、着実に保育園の定員を増やすことを進めるなどの子育て支援を積極的に実施している点

小中学校の大規模改造事業や第一学校給食センター建設事業など、子ども達の教育環境の整備が計画的にきちんと行われている点

そのほか、「特殊詐欺対策事業」や「障害者緊急一時保護居室確保事業」「障害者・高齢者住宅用消火設備設置費助成事業」「軽度・中等度難聴児補聴器購入費等助成事業」など、社会的弱者やお年寄りなど決め細やかな配慮が行き届いた予算であると思っています。

くらし・福祉・教育の充実は行政としてすべき最重要課題であります。しかし人は食べ物だけで生きて行ける訳ではありません。文化や芸術・音楽・スポーツを楽しんだり、公園でのんびりとした時間を過ごすことで心が癒されたりもするのです。従って、癒しややすらぎの空間である公園を整備して行くことも行政の重要な役割なのです。

そういった意味で今回の平成28年度予算は、くらし・福祉・教育の充実はもちろん「歴史・産業・文化を生かしたまちづくり」の視点も入り、また市民に心の癒しややすらぎをも提供することが出来る極めてバランスの良い予算であると思います。

以上の理由から・・・議案第24号 平成28年度刈谷市一般会計予算について賛成します